環境・建築の色彩
環境、建築の色彩

1960年代の中頃まで建築物の色彩計画は、カラーコンディショニング(色彩調節)と呼ばれる機能主義的な手法が中心でした。しかし70年代に入ると色彩空間の新たな表現を求めてスーパーグラフィックという運動が起こります。やがてスーパーグラフィックは衰退し、地域の個性を大切にする環境色彩計画へと移り変わって行きました。

環境色彩計画が提唱した地域の個性的な景観を尊重し育てていく活動は、その後国の景観法の施行へと繋がり、景観を構成する建築物の色彩は、地域の景観形成の方針との関係で調整されることが多くなりました。

多くの自治体が策定している色彩基準は、景観に大きな影響力を持つ彩度が高い 色調を抑えるネガティブチェックが基本となっていますが、今後はこれまでにない新たな景観をつくり出すために、住民が合意して積極的に色彩を生かす地域も出てくることでしょう。

環境色彩計画


環境色彩計画

都市景観を構成する建築や道路や公共サイン等は、全て色彩を伴って私達の周りに現れます。またこのような人工物ばかりでなく、街路樹や花壇に植えられた植物も色彩を持っています。

このように様々な色彩が溢れるまちを美的で快適な環境とするためには、景観を構成する全ての要素の色彩関係を整える必要があります。

建築や歩道橋や道路はそれぞれ個別に色彩を検討するのではなく、景観を構成する大切な要素として、全体の調和を考えながら、複雑な色彩関係を調整しなければなりません。

1970年代から都市環境を総合的に考える都市デザインという分野が活動を始めましたが、環境色彩計画はこの都市デザインと共に成長してきた比較的新しいデザイン分野です。

建築色彩計画


建築色彩計画

日本の伝統的な建築物の多くは木造であり、その外壁には木材や土や漆喰等が用いられてきました。地域で産出する建材の色彩は個性ある地域の景観をつくっていました。

このような慣れ親しんだ色彩は慣例色として、現代の建築にも引き継がれています。建築の色彩計画ではこのような慣例色を意識して色彩を選定しています。

一方今日では、様々な色彩の建材が生産されており、これまでにない新しい色材を使うことも出来るようになりました。このような新しい現代的な色材を使って全く新しい建築の表情をつくり出すことも可能になりました。

建築の色彩計画では、慣例色を活かしてまとまりのある景観を育てていく地域と、新しい時代の景観をつくっていく地域を見極めて、それぞれの地域にふさわしい建築色彩を提案していくことが求められています。

土木色彩計画


土木色彩計画

道路や歩道橋等は都市生活者にとって必要不可欠なものです。これらの土木構造物の機能性や安全性を高めるためにも色彩計画は必要です。橋梁やタワー等は彩度の高い色彩を使用して、目立たせて地域のランドマークとする場合もありますが、基本的には土木構造物の色彩は建築物の色彩と同様に、地域の景観に馴染ませることが大切です。

地域の景観を支える地として、目立ち過ぎず、永く使用しても飽きない色彩の選択を基本とすべきです。土木の色彩計画では竣工時ばかりでなく、長い時間を経て、なお地域の景観の基盤となるような色彩を選択することが基本です。

広告・サイン色彩計画


広告・サイン色彩計画

広告物の色彩はまちに賑わいをもたらします。お洒落で楽しい都市空間をつくり出すために、質の高い広告の色彩計画が必要です。

屋外広告はある程度目立たなければ存在価値がありませんが、独り善がりで目立つばかりの美しくない広告は敬遠されます。 まちの景観にも寄与する洒落た広告物の色彩を提案出来るカラーデザイナーが必要です。 また商業広告と同様、公共のサインも目立つ必要があります。

しかしここでも全体の景観を考慮して、その目立ち具合を調整すべきでしょう。品よく目立つことがこれからの広告・サインのカラーデザイナーに求められています。

担当:吉田慎悟