カラープランニングの現場から

カラリストを志す人のために、カラービジネス業界のキーマンの方々から、
実際のカラープランニングの実務をご紹介するとともに、培われた経験からの貴重なアドバイスをお届けします。


株式会社中川ケミカル

チーフデザイナー小林 雅央

小林氏

個人プロフィール

小林 雅央(こばやしまさお)
1963年大阪府出身。大阪総合デザイン専門学校卒業後、1985年に株式会社中川ケミカルに入社。2006年に、IPEC2006プランニングデザイン賞を受賞、翌2007年には、IPEC2007新技術賞を受賞。更に、2012年には、CSデザイン賞優秀賞を受賞。現在は、株式会社中川ケミカルで、CSデザインセンターのチーフデザイナーを務める。

Q. 現在のお仕事の具合的な内容は?

中川ケミカル CSデザインセンターのチーフデザイナーです。主にインハウスデザイナーとして、社内的な印刷物のグラフィックデザインから展示会や企画展の空間デザインまで依頼があれば何でもやっております。

また、カッティングシートメーカーということもあり、カッティングシートを使った案件の相談を受けることも多く、デザイン提案から仕様の検討や施工までをサポートするケースもあります。

Q. 今のお仕事に携わった経緯は?

高校生のころは、音楽が好きでその道に進めたらと思っていたのですが、残念なことにそっちの才能は全く無く断念。代わりに絵を描いたりモノをつくったりすることは、昔からそんなに努力しなくても何だか上手くいく。どうやらこの方が自分には向いていると思い、デザインの学校に入りました。学校での課題は大変でしたが、モノづくりの面白さにはまり、本格的にデザイナーを目指すようになります。

その後、縁があり、中川ケミカルの子会社に入社します。そのころは、まだ大阪勤務でしたが、東京の本社でNOCSのプロジェクトを立ち上げることになり、そのメンバーとして参加します。1995年のことです。現在は、CSデザインセンターというカッティングシートのショールームと併設したオフィスでデザイン作業をしております。

Q. 商品などの、色を決定するまでの業務の具体的な手順・流れは?

まず、商品のコンセプトを良く理解するところからはじめます。

それから、他社品を含めたそれらの商品がおおまかなにイメージできる「らしさ」を表現する色範囲を調査し、そこから、商品のコンセプト「特徴」を表す色の領域を選び、特徴にあった色の中から候補色を選択します。その段階で、高級/庶民的、伝統/新しさ、親しみ/信頼感などの軸をつくり、色を絞り込んでいきます。最後に、競争相手との「差別化」ができているかを確認し、色を決定しますが、ターゲットとなる人の年齢層、性別における嗜好色、嫌悪色等を考慮します。また、ロゴの場合は、視認性・誘目性など様々な側面からの検証もします。

ただし、実務では、時間や経費に制約があり、これらの作業は簡易的に行うことがほとんどです。

Q. 色を考える上で大切なことは?

色彩計画については、色々な書籍が出版されており、その考え方や、方法については感心することが多いのですが、実際に空間に置き換える際には、素材のもつ質感や、透過、反射、グラデーションなど様々な要素が組み合わされます。その中で、色を如何にコントロールし、効果的に使うかを考える必要があります。

Q. 必要とされるスキル(教育・知識・技術等)、経験は?

プロダクト、空間、建築など、デザインをする場合に色は重要な要素です。しかし、カタチや素材も含めひとつの完成品です。色の知識、技術だけではなく、+αプロダクトデザイン、+α建築デザインなどのスキルがある人材が道を開いていくのではないでしょうか。

Q. 日々の情報収集や努力している物事は?

特に努力している訳ではありませんが、街を、または自然の中を歩いていて、絶妙なレイアウトや配色にハッとすることがあります。写真が好きで、気になったものを撮影しだしてからは、無意識にそういうモノに目がいくようになりました。

また、写真を撮るという行為はフレームで切り取る作業が必要です。どのような構図が良いか、どの部分を外し、どこまでをフレームに納めるか、など被写体をよく観察します。よく観察しその魅力を理解することがクリエーターとしての肥になっていると思います。特に自然にあるものは人の手がついていないので参考になります。

Q. 同様の仕事を望む学生や一般の方へのアドバイスは?

とにかくたくさんよいモノを見ることだと思います。特に海外のモノは日本ではあり得ない斬新な配色やスケールの大きなモノが多いので勉強になります。気になったモノを今からストックしていくと5年後、10年後素晴らしい財産になっていることでしょう。

また、普段からそういう目で物事を観察する習慣ができれば、自然と知識や感性が磨かれていくと思います。

Q. 仕事で利用する七つ道具を教えて下さい。

  • 手帳

    スケジュール、打ち合わせや会議の要点メモ、アイデアスケッチに使用しています。

  • パソコン

    主にMac メール、データのやり取り、ネット検索、デザイン作業時に使用しています。

  • デジカメ

    しっかり撮る場合はライカM9、持ち歩き用にはRICOH GRDを使用しています。

  • ipad

    出先でのメールや、地域の情報収集、地図、ちょっとしたプレゼン作業等に使用します。

  • NOCS

    色の検討時に使用しています。

  • カタログ・カットサンプル

    現物での確認は重要です。

  • 模型

    紙やパソコンで再現が難しい場合や、プレゼンにも使用しています。

会社プロフィール

株式会社中川ケミカル

株式会社中川ケミカル(所在地:東京都中央区東日本橋 2-1-6 岩田屋ビル4F)は昭和11年11月11日、中川堂(株式会社中川ケミカルの前身)を発足しました。終戦後、業務を拡張し、デパートの内外装工事をその主業務としました。昭和36年より「カッティングシート」の開発を始めました。昭和50年、株式会社中川ケミカルとして株式会社中川堂から独立しました。
中川ケミカルは、会社創立から今日に至るまで、お客様の期待に答える製品づくりを実践する一方で、デザインを通じた “快適空間の創造”を目指し、さまざまな取り組みを進めてきました。私達は、中川ケミカルらしい高品質でオリジナリティあふれる製品、サービスや活動(色彩・デザイン・素材・技術)を通じて、安心と感動と夢を提供し続けます。

【株式会社中川ケミカル】 http://www.nakagawa.co.jp/

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